ミラーレスカメラのXシリーズでは、ボディが最小サイズとなった『X-E3』。小さいカメラボディには小型軽量のレンズを装着してスナップ写真を楽しみたいものです。
冨士フイルム製のレンズラインナップから、小型軽量のレンズと言えば、Xシリーズのパンケーキレンズとして発売されている[XF18mmF2 R]と[XF27mmF2.8]です。
今回は、そこそこ被写体に近づける広角レンズとしてスナップ撮影にも活躍している[XF27mmF2.8]の撮影画像を紹介していきます。
XF27mmF2.8の特徴
〈2013年7月27日〉に発売された[XF27mmF2.8]のサイズは〈61.2 × 23mm〉で、重量は〈78 g〉と、絞り解放が〈F2.8〉。APS-Cセンサーのパンケーキレンズとしては十分薄く軽量。とくに冨士フイルムは小型化より画質を優先するレンズ設計を目指しており、ラインナップの中ではひときわ小型軽量。
あと、薄型設計にこだわったため、フジノンレンズとしては珍しく『絞りリング』を搭載していません。絞りの操作は背面のコマンドダイアルでおこないます。
このレンズの画角は、35ミリフィルム(フルサイズセンサー)換算で『約41ミリ』と、準広角レンズと標準レンズの中間に位置する焦点であるため、スナップ写真用レンズとして景色や気になる物や人物の撮影に適しています。最短撮影距離は〈0.34 m〉となり、とくに近距離撮影が得意なレンズでもありません。
XF27mmF2.8の撮影画像
デジカメのAPS-Cイメージセンサーは、各社若干のサイズ差ががあるため、焦点距離に微妙な違いがありますが、[XF27mmF2.8]は、約41ミリ(これ以降の焦点距離は35mmフィルム換算で表記)。
風景撮影
焦点距離41ミリのレンズは、画角が広すぎず狭すぎず丁度スナップ写真に向いていて、素早くカメラを構えたときの情景の切り取りがスムーズでフレーミングしやすいです。
ただし、至近距離の被写体と背景を多く入れるスナップ写真には向いていない。私のようにサイクリング中に自転車と背景をセットに撮る場合、後方にさがって至近距離の自転車をフレームインさせなければなりません。そのため、道路上での撮影では往来する自動車に注意しながらの撮影になります。
周辺光量
[XF27mmF2.8]の解放絞り値は〈F2.8〉と単焦点レンズといえどもF値は欲張っていません。薄型軽量を実現するための設計にはまちがいないでしょう。
周辺光量落ちはJpeg撮影では自動補正がかかるため、絞り解放では素晴らしいほど周辺光量落ちが少ない。絞りをF5.6以上にすれば安定した画像を提供してくれる。
RAW撮影の生データでは、開放時の周辺光量落ちはかなり大きい。ただし、F5.6では周辺光量落ちはほぼ解消し、F8以上では気付かないレベルになります。
XF27mmF2.8 軽量薄型であるため性能も価格にそった廉価レンズと思ってしまいがちですが、このレンズで情報量のおおい景色などを撮影したあと、PCモニターで撮影画像の四隅周辺を確認すれば安定した解像度に驚くことになります。多くの高性能なフジノンレンズでも四隅の解像度は落ち、像の流れなどがあっても珍しくないのですが、トリミングで端の部分を採用できるほど画像が安定しています。
近接撮影
最短撮影距離は〈0.34 m〉、最大撮影倍率は〈0.1 倍〉と至近距離での撮影ではとくにアドバンテージが高いこともありません。
しかし、絞り解放を積極的につかってみると、被写体の背景はボケは少ないながらも綺麗なアウトフォーカスが確認できます。料理撮影では大きなボケを利用した演出はできませんが、絞り解放から高い解像度を得ることができるため、マクロレンズを持ち合わせていない時の室内撮影でも活躍するでしょう。また、細かい描写が必要な花などの植物撮影にも高画質な画像をおさめることができます。
逆光撮影
完結にいえば XF27mmF2.8 の逆光耐性は高い。ちょうど夕暮れ時だったので、フレームのあらゆる部分に太陽を入れて多く撮影しましたが、ゴーストやフレアは確認できす素晴らしいヌケのよい描写でした。フジノンコーティングとレンズ構成枚数の少ないおかげでしょう。
動体撮影
[XF27mmF2.8]は薄型軽量であるため同じく小型軽量の X-E3 とのマッチングもバッチリ。レンズ内蔵のDCモーターのレンズ群繰り出し量が少ないためか、従来のモーターシステムでありながらAFスピードはなかなか頑張っています。さらに新型 X-E3 には改良されたAFユニットが搭載されており、より速く精度の高いフォーカスが利用できます。横に流れるスポーツ撮影などはワイドエリアのAFで撮影可能です。
個人的には撮影条件によってAFとMFを使い分けています。そうそう、レンズ駆動音は小さく短いです。
まとめ:
XF27mmF2.8 はシリーズラインナップの初期の頃から計画にあり、Xカメラユーザーの要望に応えたパンケーキレンズですが、デビュー時はビギナー向けのファインダー無しモデル『X-M1』のキットレンズにもなりました。
販売数は多くはありませんが、Xシリーズユーザーの高画質スナップレンズとして徐々に所有者を増やしている名レンズです。
XF27mmF2.8・仕様
型番 | XF27mmF2.8 |
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レンズ構成 | 5群7枚 (非球面レンズ1枚) |
焦点距離 | f=27mm (35mm判換算:41mm相当) |
画角 | 55.5° |
最大口径比(開放絞り) | F2.8 |
最小絞り | F16 |
絞り形式 |
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撮影距離範囲 |
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最大撮影倍率 | 0.1倍 |
外形寸法:最大径×長さ(約) ※先端よりマウント基準面まで |
ø61.2mm×23mm |
質量(約) ※レンズキャップ含まず |
78g |
フィルターサイズ | ø39mm |
略称 | F XF27mmF2.8(ブラック) F XF27mmF2.8 S(シルバー) |